
制作部の巻です。
過去の記事で、これからの求人採用は戦略立てが必須であることをお話ししてきました。活動を始める前の準備として戦略を立てることで、活動の軸が生まれ、やるべきこと・やらなくてもいいことがはっきりと見えてきます。
今回はさらに細かい内容として、マーケティングの考え方である「ファネル分析」を使った戦略立ての方法を解説します。
採用マーケティングとは?
少子高齢化が進み、最近は新型コロナウイルスの影響も重なったことで採用市場は厳しい状況が続いています。以前であれば求人広告に出稿するだけで働き手を集められましたが、近年は数少ない働き手を同業他社で取り合っている現状です。
そんな中、本来は消費者に商品を買ってもらうためのマーケティング技術・理論を採用活動に応用する動きが出てきました。それが「採用マーケティング」です。
消費者のニーズをもとに商品を売るマーケティングと並んで、求職者のニーズに沿った対策で働き手を集めるのが採用マーケティングと言えます。
採用マーケティングは従来の採用活動とは違う
採用マーケティングが従来の採用と異なるのは、求職者との接点があらかじめ計画されているという点です。求人広告を出して、偶然それを見た求職者が応募してくるのではありません。
企業を認知する→興味を持つ→競合他社と比較する→応募に至る…一連の心理を予想し、それぞれのステップで効果的と思われる施策を計画します。求職者が来るのを待つのではなく、応募したくなるよう意図的に誘導するのが採用マーケティングです。
応募までの流れを可視化するファネル分析
採用マーケティングを始めるとき、分かりやすい考え方が「ファネル分析」です。
「ファネル(funnel)」とは、ろうと・じょうごを表す英語。求職者が企業を認識してから応募する流れを、液体が流れ落ちる様に例えた図になっています。
ファネル分析のメリットは理解・整理がしやすいこと。それによってどんな施策を打つべきかがクリアに見えてきます。また、視覚的なのでメンバーと共有しやすく、誰から見ても伝わりやすいという利点もあります。

実践:ファネルを設計してみよう
ここからはファネルを設計してみましょう。 逆三角の図を描いたら、いくつかの階層に分けていきます。
購買行動の心理プロセス=AIDMA(アイドマ)でステージ分けする
本来の購買マーケティングに「AIDMA(アイドマ)」という考え方があります。これは消費者が商品を買うまでの心理プロセスを5つに分けたもので、似たようなものに「AIDA(アイダ)」「AISAS(アイサス)」などがあります。
1920年代にアメリカの経済学者サミュエル・ローランド・ホール氏によって生み出され、現在に至るまで多くのマーケティング活動で用いられています。
・Attention=注意を引く
・Interest=興味を持つ
・Desire=欲求を喚起する
・Memory=記憶に残す
・Action=購入する
この考え方を採用活動に当てはめ、求職者が求人に応募するまでのプロセスとして利用します。 今回は4つ目のステージを「Memory=記憶に残す」から「(競合他社と)検討する」へ変更してみました。

今の採用活動を図に記入する
次に、今行っている採用活動を図に記入しましょう。 合同説明会やテレビ・WebCM、SNS広告など求職者と初めて接触するポイントは「A」のステージに当たります。
個別の会社説明会は興味を持った求職者向けなので「I」、座談会は応募意欲を高めるので「D」という風に分けていきます。
難しいポイントとして、ひとつの活動でも複数のステージに分かれることがあります。例えば採用SNSの中でも事業紹介の投稿は「I」、社風アピールの投稿は「D」のように細分化することでさらに分けられるケースもあります。
活動の単位にこだわらず、求職者の心理を想像することでステージ分けを進めやすくなります。

抜けを埋めたり新しい対策を考える
ファネルの作成が進んでいくと何もないステージや、反対に施策が集中しているステージが明確になってきます。コストや成果と検討しながら施策の追加と削除をおこないます。
採用活動が活発でひとつのステージに複数の項目が並んでいる場合は、経路ごとにファネルを分解する方法があります。「A」のステージで、どの施策から接触するかによって複数のファネルを制作しましょう。
失敗しないファネルの作り方
求職者の心理状態に合わせたアプローチ方法を
ひとつのアプローチ方法でも、受け取り手の気持ち次第で離脱の原因になってしまう可能性があります。今求職者はどのステージにいて、どんな情報を持っているのかを想像しなければいけません。
例として60分のメッセージ動画を発信した時、どのような反応が得られるでしょうか。おそらく「A」にいる求職者は引いてしまって離脱するか、そもそも閲覧自体されない恐れがあります。一方で「検討する」段階の求職者にとっては応募へのひと押しになるかもしれません。
極端な例ですが、せっかくの企画の成果を最大限に引き出すためにはターゲットの見極めが重要になってきます。
まとめ:ファネル分析をきっかけに採用マーケティングを始めてみませんか?
いかがでしたか?
ファネル分析は自社の手法の見直しから企画立案までを可視化できるおすすめの方法です。採用マーケティングにはまだまだたくさんの方法と考え方が存在します。
ファネル分析を試してみたい、一緒に作って欲しいなどのご要望も承りますのでお気軽にお問い合わせください。
皆様の採用活動の助けとなることを願っております。