
株式会社ナインデザインの保守管理を担当しております、中山です。
「今年から新卒採用を始めたいけど、何から手をつければよいかわからない」という中小企業の社長さん・採用担当の方へ。
本記事では、中小企業が新卒採用を始めるために必要なことを以下の4つのステップに分けて解説します。
- 事前調査
- 募集〜応募受付
- 採用選考
- 内定〜入社
また、「知名度が低い」「採用コストが少ない」「条件面の不利」など、中小企業が抱える課題の解決案についても、各ステップの中でポイントをご紹介します。
STEP1:事前調査
①学生の志向を把握する
中小企業が大手企業に負けずに新卒採用を成功させるには、どのような戦略を立てればよいのでしょうか?
まずは、現在の学生の志向を把握することが重要です。
学生を対象にしたアンケート調査「マイナビ2023年卒大学生就職意識調査」の結果から考えてみましょう。
引用:マイナビ2023年卒大学生就職意識調査
2023年卒学生の中小企業志向は47.8%
『あなたは「大手企業志向」ですか、それとも「中堅・中小企業志向」ですか』という質問に対し、大手企業志向の学生(①+②)は48.5%(前年比2.6%減)で、中堅・中小企業志向の学生(③+④)は47.8%(前年比2.9%増)という結果となっています。
選択肢 | 回答(前年比) |
---|---|
①絶対に大手企業がよい | 8.0%(-0.9%) |
②自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい | 40.5%(-1.7%) |
③やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい | 40.1%(+2.6%) |
④中堅・中小企業がよい | 7.7%(+0.3%) |
その他 | 7.7%(+0.3%) |
「絶対に大手企業がよい」と考えている学生は全体の8%ほどしかいません。
多くの学生はその会社でやりがいのある仕事ができることを重要視し、それが実現できるのであれば大手企業であることにこだわらないという傾向が読み取れます。
「安定」と「やりたい仕事」を重視する学生が多い
『あなたが企業選択をする場合、どのような企業がよいと思いますか(2つ選択)』という質問に対しては、「安定している会社」の回答が最多で、次に「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」という結果となりました。
選択肢 | 回答(前年比) |
---|---|
安定している会社 | 43.9% |
自分のやりたい仕事(職種)ができる会社 | 32.8% |
給料の良い会社 | 19.1% |
働きがいのある会社 | 12.2% |
これから伸びそうな会社 | 11.6% |
勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社 | 11.4% |
社風が良い会社 | 10.8% |
休日、休暇の多い会社 | 9.9% |
自分の能力・専門を活かせる会社 | 6.7% |
転勤のない会社 | 5.2% |
「安定している会社=大手企業」のイメージがあるかもしれませんが、中小企業でも老舗企業や業績の良い会社など、安定している会社はたくさんあります。
採用活動の中で会社の業績や今後の事業展開などを提示し、安定して働ける会社であるというのを学生に示すことが大事です。
また、「自分のやりたい仕事ができる会社」を希望している学生が多いため、会社説明会では具体的な仕事内容を紹介し、学生が働くイメージを持てるような工夫をしていくことが採用成功のポイントとなるでしょう。
②中小企業の強みを把握する
中小企業の採用が大企業に比べて不利となる要因のひとつに、給与や福利厚生が劣っていることが挙げられます。
しかし、それらの待遇を今すぐ大手企業と同水準に引き上げることは現実的ではありません。
条件面の不利は、他の魅力を効果的にアピールすることで補いましょう。
特に、中小企業には大企業にない魅力があるので、その魅力を上手くアピールできれば新卒採用の成功は高まります。
以下に一般的な中小企業の魅力を5つ挙げています。
1. 自由度が高い
中小企業は組織が小さいため、ある程度の裁量権を持って自由に仕事を進めることができます。 また、自分のアイデアを実現できる可能性も高いです。 大企業の場合は仕事の区分けが明確なので、人によっては働きにくさを感じることもあります。
自分のペースで自由に仕事をしたいと考えている人にとっては大きなメリットになると思います。
2. 幅広い仕事を経験できる
中小企業では、複数の仕事をひとりの社員で掛け持ちすることがよくあります。 様々な仕事を任されることで、幅広い知識や経験を積めるでしょう。
3. スピード感がある
中小企業は大企業と比べて意思決定が早いので、スピード感のある仕事ができます。 昇進も早く、若い年齢でリーダーシップの経験や実績を積めることも魅力です。
4. 会社全体が見えやすい
中小企業は大企業に比べて経営陣と距離が近く、経営側の視点や考えを吸収できるので、会社全体が見えやすいです。 また、人数が比較的少なく、他部署とのコミュニケーションもとりやすいため、他部署の仕事の流れも把握しやすくなります。
会社全体が把握でき、経営陣との信頼関係を築けるので、愛社精神も高まるでしょう。
5. 転勤が少ない
中小企業は、営業所や支店数が限られているため、大きく環境が変わる異動を命じられるケースが少ない点も特徴です。 地元で働きたい方や、転勤や異動に不安を感じる学生にとっては大きな安心材料ですね。
これらの中で自社に当てはまるものをチェックし、募集をかける際にはアピールするようにしましょう。
STEP2:募集~応募受付
①採用ターゲットを明確にする
採用活動を始めるにあたり、まずは採用ターゲットを明確にすることが重要です。
ここを明確にしないと、大手企業や他の中小企業と同じフィールドで学生を奪い合うことになります。
多くの中小企業が、「知名度が低く応募者が集まらない」という悩みを抱えていますが、そもそも大企業と同じようなターゲットを考えていませんでしょうか?
知名度不足の対策としては、今までと違う母集団形成を検討することが鍵となります。
「自社にとって本当に必要な人材」を明確にしてターゲットを絞ることで、大企業とターゲット層が被らず、自社にマッチした人材を採用しやすくなるでしょう。
なお、ターゲットはできる限り具体的に設定することをおすすめします。
現在社内で活躍しているメンバーを参考にするとイメージしやすいと思います。
②企業ホームページで採用ブランディングを作る
株式会社ディスコの2023年卒採用ホームページに関する調査によると、学生に『志望企業について調べる上で有益だった情報源』を尋ねたところ、最も多かった回答は「個別企業のホームページ」でした。
また、『就職活動中に、企業の採用ホームページをどの程度閲覧したか』を尋ねたところ、「かなり目を通した」が約7割で、大半の学生が企業ホームページをしっかり閲覧していることが分かります。
これほど学生にとって企業研究の主要なツールとされているにも関わらず、企業ホームページが長らく改修されていない中小企業はしばしば見受けられます。
ナビ媒体サイトから自社に興味を持ってもらっても、ホームページのデザインが古かったり、最新情報が更新されていなかったりしたら、学生は企業研究をやめてしまう可能性があります。
企業ホームページを改修し、内容やデザインを最新に保つことは、採用力の強化はもちろん、企業ブランドを保つ意味でもメリットが大きいです。
無名の中小企業でもホームページがしっかりしており、安定している会社・自分のやりたい仕事ができる会社であることが学生に伝われば、「穴場の会社を見つけた!」と学生の興味は一気に高まるでしょう。
なお、働くイメージを持ってもらうためには、文章だけではなく映像も使った方がわかりやすいです。
採用動画をホームページやYouTube、SNSなどに掲載する企業も増えています。
動画は「職場の様子」や「社員の雰囲気」のような抽象的なものを伝えやすいというメリットがありますので、仕事風景や社員インタビューなどを動画にするとよいでしょう。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/202207_hpchosa.pdf
引用:2023年卒採用ホームページに関する調査
③自社に合ったアプローチを行う
採用ターゲットを決め、企業ホームページを整えたら、アプローチ方法を検討します。
新卒採用では、リクナビやマイナビの就職サイトを利用する方法が王道ですが、知名度のない中小企業では他社に埋もれてしまいがちです。
また、就職サイトは掲載するだけで費用がかかるため、そこまで採用コストがかけられないという中小企業も多いと思います。
新卒紹介、リファラル採用、合同説明会など、就職サイト以外の採用手法はたくさんあるので、自社に合ったアプローチ方法を検討してみてください。
本記事では採用手法の一つとして、「ダイレクトリクルーティング」をご紹介します。
ダイレクトリクルーティングの活用
ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接学生へアプローチする採用手法を指します。
低コストで自社にマッチした人材を採用できる可能性があるため、知名度が低くコストがかけられない中小企業にとっておすすめの方法になります。
知名度のない企業の場合、従来の「待ち」の採用ではなく、企業が能動的に動く「攻め」の採用が必要です。
「求人サイトから全然応募が来ない」「求人サイトから応募は集まるものの、なかなか自社にマッチした人材がいない」という場合は、ダイレクトリクルーティングを活用して攻めの採用をしてみることをおすすめします。
ダイレクトリクルーティングの大まかな流れは以下になります。
- 学生は、人材データベースに自分の情報を登録する。
- 企業は、学生の情報を見て自社にマッチしている人材を探す。
- 企業は、マッチしている学生にスカウトメールを送る。
- 企業は、学生とのやり取りを経て面談や選考に進み、採用を行う。
なお、ダイレクトリクルーティングにもサービス費用は発生します。
サービスの料金形態によって異なりますが、主に下記2つの料金形態があります。
①成功報酬型
応募があった際や、採用が成功して入社が決定した際に費用が発生します。
②データベース利用料
人材データベースの利用料を数か月~1年単位で支払います。
さらに、企業が直接求職者にアプローチするため、業務負荷は増えることになります。
よって、サービスの料金や自社の業務負荷と採用効果を見積もった上で活用を検討することが重要です。
④WEB説明会・WEB面接でコスト削減とエリア拡大
中小企業の場合、少ない採用人数に対して、合同説明会への出展や個別説明会を何度も実施すると、採用単価(1人当たりの採用コスト)がかさんでしまいます。
一方、面接を実施するにも、遠方の学生に交通費なしで来てもらうのはハードルが高くなります。
そこでWEB説明会・WEB面接を取り入れることで、コスト削減と採用エリア拡大につなげられます。
面接においては、一次選考や二次選考はWEBで行い、最終選考だけは本社まで来てもらう方法でもよいでしょう。
また、WEB説明会・WEB面接をスムーズに行うことで、柔軟な働き方ができる会社であることのアピールにもなると思います。
⑤インターンシップの開催
業務リソースに余裕がある場合は、インターンシップの導入も検討してみましょう。
インターンシップにおいて事前に学生に業務内容を知ってもらい、自社に魅力を感じてもらえれば、採用活動のときに学生側から応募してくれる可能性が高まります。
また、中小企業の悩みである「内定辞退が多い」という問題の解決にもつながるかもしれません。
入社後の採用ミスマッチによる早期離職の防止も期待できるでしょう。
STEP3:採用選考
選考プロセスにおける学生とのコミュニケーションは、学生が入社動機を高める重要な要素です。
選考を通して学生により自社の魅力を伝えられれば、選考辞退や内定辞退を防ぐ確率も高まるでしょう。
選考においては、学生が活躍できるイメージを持てるようなコミュニケーションを行っていきましょう。
以下に、コミュニケーションの具体例を2つご紹介します。
①座談会や個別面談を設ける
会社説明会や選考プロセスにおいて、少なくとも社員と学生が顔を合わせて話せる場を設けるようにしましょう。
複数の社員を呼んで座談会の形式にすれば、社員同士が話している雰囲気から社風が伝わりやすくなります。
また、社員と学生が1対1の個別面談では、人事の前では聞きづらいことも聞けるため、懸念や不安を払拭できます。
年齢の近い若手社員と話せば、入社後のイメージも持ちやすくなるでしょう。
②選考結果(合格理由)をフィードバックする
選考ごとに合格の理由をフィードバックしてあげることで、学生は「この企業は自分のこんなところを評価してくれた」と感じ、自社に対してポジティブな印象を持ってくれるかもしれません。
その結果、自社の志望度を上げてもらえることが期待できます。
学生にとっても「自分のこういうところを活かして働けそうだ」とより働くイメージを持てるでしょう。
STEP4:内定~入社
現在の新卒採用は売り手市場であるため、複数の企業から内定をもらう学生が増えています。
そのため、必ず複数の企業は辞退を受けることになります。
学生の内定辞退を防ぐためには内定者フォローが重要ですが、中でも意識するべきポイントは「コミュニケーション」です。
以下に、効果的なコミュニケーションの具体例を3つご紹介します。
①インパクトのある内定通知を行う
最初に内定を知らせる文章は、内定者のモチベーションや会社への愛着心を大いに左右すると考えられます。
そこで、最終選考の結果をインパクトのある通知にすることで、学生に強い印象を残すことができます。
例えば、内定者それぞれに合わせて社長自らのメッセージが込められた内定通知が届いたら、学生の印象にかなり残るのではないでしょうか。
その思い出は入社後も残り、会社に対する愛着にも繋がると思います。
②座談会・内定者懇談会を行う
若手からベテランまで幅広い人と話ができる機会(座談会)を内定者に与えることで、自社への親近感が湧き入社意欲の向上につなげることができます。
また、内定者はどのような同期と仕事をするのかと不安を感じていますので、内定者同士でコミュニケーションをとれる機会(内定者懇談会)を提供してあげるとよいでしょう。
内定者同士で不安や期待を共有することで仲間意識が高まり、内定辞退を防ぐことにもつながると思います。
③定期的な面談を行う
入社前の内定者の不安を取り除くために、内定者面談を行いましょう。
内定者面談は1度で終わらせず、複数回設定します。
行う時期にあわせて面談の内容に変化を与えることで、お互いに有意義な時間を過ごせます。
なお、内定者面談では、質疑応答の時間を設けることが大切です。
面談を終える頃には内定者たちの抱える不安や疑問が解消できるよう、企業側は配慮を行う必要があります。
自社に合った方法で採用を成功させましょう
今回は、中小企業が新卒採用を始めるためのポイントをステップごとに分けてご紹介しました。
中小企業でも、自社に合ったサービスをうまく活用して自社の魅力を伝えていけば、十分に採用を成功させることができます。
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