これからは歯科医師不足の時代が来る?早めに採用対策をしよう!

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歯科業界は、治療がメインの時代から予防を主体とする時代へと変化を遂げました。
子供達のカリエス(むし歯)罹患率は減少し、定期的なメンテナンスへの来院率も増加傾向にあります。
そして近年では、歯科医師は過剰の時代から、不足する時代へと移行するのではないかと言われています。

歯科医院はコンビニエンスストアの数よりも多いって言われているのに、歯科医師が不足することがあるの?

歯科医師不足が予想されている理由と、対策を行う重要性について解説します!

この先も歯科医院経営を継続して安定させるために考慮すべき一つの要素として、ぜひ参考にしてください!

歯科医過剰と言われるようになった原因

「歯科医院はコンビニエンスストアよりも多い」と言います。実際のところはどうなのか、統計データからみてみましょう。
2023年7月のコンビニエンスストア数は5万5772店(「コンビニエンスストア統計調査月報」:日本フランチャイズチェーン協会)ですが、歯科医院数は6万7899施設(「医療施設動態調査」:厚生労働省)という結果が出ています。歯科医院数はコンビニエンスストアよりも1万件以上多く存在しているということがわかります。街の一角に歯科医院が複数見られるといった状況が珍しくないのも、納得です。

では、なぜこのように歯科医院の数は増えたのでしょうか。その理由として、次のような背景があります。

1.国の対策により歯科医が増えた

昭和40年代に第2次ベビーブームで人口が増え、同時に高度経済成長により国民の生活習慣や食生活が今までとは大きく変化しました。

この影響で国民のう蝕(むし歯)が増える事態になったのです。

そのため国は歯科医師数を増加させる計画を立てました。 その結果、当時人口10万人に対して30名ほどだった歯科医師数を、2010年には人口10万に対し80名まで増やすことに成功しました。

2.カリエス罹患率が減少している

子供達のカリエス罹患率について、3歳児(平成25年度以前:​​母子保健課・歯科保健課調べ、平成26年度以降:地域保健・健康増進事業報告​​)と、12歳児(学校保健統計調査:文部科学省)の年次推移を見ていきましょう。

  • 3歳児の1人平均う歯数・・・2.90本(1989年)→0.54本(2016年)
  • 12歳児の1人平均う歯数・・・4.30本(1989年)→0.84本(2016年)

こうして比較してみると、かなりの数のう歯が減少していることがわかります。カリエスに対しては、その分治療の機会が少なくなっていると考えられるのではないでしょうか。
治療で来院する患者様が減ることで、相対的に歯科医師が過剰になってしまうのです。

歯科医師が不足すると言われる理由

歯科医師が過剰かどうかを決める要因は、需要と供給のバランスにあります。先ほどお伝えした歯科医師が増えた要因によって、今度は歯科医師が過剰に増加しないように、国は新たな対策を行いました。1987年には、当時の厚生省により大学歯学部・歯科大学入学定員の20%削減計画が、さらに1998年には10%の削減が求められました。

このような過程を経て、近年は歯科医師不足に繋がると思われるいくつかの現象も起きてきています。

1.高齢者の増加

2025年には団塊の世代が後期高齢者となるため、日本の少子高齢化がさらに深刻になると考えられています。歯科医療や訪問歯科診療が、より一層必要とされる可能性も高いでしょう。

子供達のカリエスは減少していますが、反対に後期高齢者の歯周病罹患率は増加しています。口腔ケアができているかどうかは、認知症や誤嚥性肺炎、心疾患・脳卒中など全身疾患のリスクに繋がることは皆さんご存知の通りです。

また歯科受診が困難な患者様が増え、訪問歯科診療だけではなく、オーラルフレイルに関しての知識や対応も求められるようになると思われます。歯科医師として求められる内容が変わっていくでしょう。

2.歯科医師の高齢化

超高齢化社会と言われる日本ですが、同じように歯科医師の年齢も高齢化しています。

年齢を重ねて老眼が始まったり、肩こりや腰痛・腱鞘炎など、職業病と言える不調が気になってきた方もいらっしゃるかもしれません。歯科治療は細かい作業が多く、診療へ影響することもあるでしょう。拘束時間も決して短いとは言えず、体力的にも負担が大きくなります。歯科医師の高齢化に比例し、引退する方の数も増加すると考えるのが普通です。

3.国家試験の合格率の低下

厚生労働省の​​​​「歯科医師国家試験合格者数等の推移​​」によると、2012年の国家試験の合格率は71.1%であるのに対し、2022年は61.6%と大幅に減少しています。しかし、受験者数は2012年​​3,326人​​、2022年​​​​3,198人と大きな差はありません。​​このことからも、毎年誕生する歯科医師の数は明らかに減少しており、今後不足していく可能性があると予想されるのではないでしょうか。

4.特に地方の歯科医師が不足する

都道府県別に見ると東京都が最も多い10,678軒、鳥取県・島根県が最も少ない254軒となっており、その差は約42倍にもなります。

都市部では人が集まりやすいので、

  • 集患がしやすい
  • 求人がある(勤務医や歯科衛生士を採用しやすい)
  • 技術の習得やキャリアを積みやすい

などのメリットが多く、その分医院数も増えます。

厚生労働省が発表している無歯科医地区等調査では、
歯科医療を受けられない無歯科医地区の人口は2019年に178,463人だったのに対し、2022年には188,647人と1万人も増えています。

都市部への歯科偏在が激化することで、無歯科医地区が進むエリアに住んでいる患者さんが診療を受けにくくなるだけではなく、競合が増えることで医院経営も圧迫を受け、集患ができない歯科医院は淘汰されてしまいます。

地域の歯科偏在は、このように開業にも影響します。しかし、開業前にマーケットの分析を行うことで、ある程度回避することが可能です。
自分の生活圏や都市部で開業することが一番という思い込みを捨て、都市部から離れた場所でも集患ができる仕組みづくりをしていきましょう。

今のうちに診療体制を整えないと間に合わない

スタッフを雇うことで、もちろん支出は大きくなります。それ以外にも歯科における材料費や設備投資にかかる支出は多く、さらに新たに歯科医師を雇うのであれば、その分必要な費用はさらに大きくなるでしょう。
そのため「忙しいけれど、自分一人でも診療を回せている」「現状は今の体制で間に合っている」という場合、新たにスタッフを雇用しようとは考えない先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし経営者として事業を継続していくのであれば、先を見通した経営を行っていく必要があるでしょう。
今後、歯科医師が不足する時が来ると言われています。いざ足りない、医院を継承したいとなった時に、自院に合った人材を確保できる保証はどこにもないのです。

人材が確保できないことで起こる問題

歯科医師が確保できずに患者様に満足な医療サービスを提供できなくなった場合、以下のような問題が起こる可能性があります。

1.スムーズな診療が難しくなる

必要な人材確保が出来なければ、日々の診療を十分に行うことも難しくなります。
一人ひとりの患者様にかけられる時間も短くなってしまうかもしれません。

2.患者満足度の低下

予約が取りづらくなり、次回アポイントまでの間が長く空いてしまうかもしれません。
余裕のない診療では、患者様の小さな変化や様子に気が付けず、納得いただける診療の提供が難しくなってしまうことも考えられます。

このような事態は、少なくとも一定の患者様の不満へ繋がる可能性があるといえるでしょう。小さな不満が積み重なり、せっかく築き上げた患者様との信頼関係や患者様自体を失うことになりかねないため、注意すべきです。

3.後継者の問題

年齢を重ねると、後継者の問題も起こり始めます。若い歯科医師や後継者のいない医院では、限られた患者数までしか対応できず、自身の高齢化とともに診療可能な患者数も徐々に少なくなっていきます。しかし後継者がいない状況にありながら、特に対策を行っていないという歯科医院も少なくありません。

歯科医院経営を長く継続するためには、安定した診療の提供と、通い続けてくれる患者様を増やしていくことがまず大事なのではないでしょうか?
患者満足度を上げ、患者様のリコール度をキープしながら、新規患者を増やしていくことが、経営の安定に繋がります。
目の前のことだけではなく、こうした先を見越して考えていくことが重要です。

そのためには、余裕を持って新しい人材を確保しておくことをお勧めします。
新しいスタッフが入っても、安心して診療を任せられるようになるまでは時間が必要です。医院の理念や方針に合っていることはもちろん、技術的な面やその他の面でも育てていかなければならないからです。

歯科医師不足になる前に対策するなら

理想に近い人材に出会えるまでには、時間がかかることも多いでしょう。求める人物像に当てはまる人がいても、タイミングが合わなければそもそも出会うことすらできません。余裕を持って、良い人材を探しておく必要があります。

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