「院長、ちょっとお時間よろしいですか…?」
ヤバい!また退職の話だ!
ただでさえ人手不足なのに、歯科衛生士がどんどん辞めていく…!
そんなふうに焦ってこのページに辿り着いた方はいませんか?
どの業界も人手不足のいま、有効求人倍率22.6倍の歯科衛生士は引く手数多。
すぐに次が見つかるので退職のハードルが低く、辞めやすいと言われています。
でも、衛生士のせいにして諦めるのはもったいない!
辞めたくなる原因は、クリニック側にもあるかもしれませんよ。
今回は「衛生士が退職を考える瞬間」をたくさん集めてきましたので、ご覧ください!
クリニックのスタッフが辞めたくなる理由8選!いくつ当てはまりますか?
院長がいつも怒っている・機嫌が悪い
院長が短気で、スタッフに対していつもイライラしている…
こんな職場では楽しく働けませんし、患者さんにも気まずい思いをさせてしまいます。
スキルが足りていない、スタッフがミスをした、単純に忙しいなど、業務内でイライラしてしまうポイントはたくさんあるでしょう。
でも、怒りの感情を出してしまうとスタッフはますます萎縮してしまい、ミスも増え、悪循環につながってしまいます。
怒りたい・嫌味を言いたい気持ちはグッと堪えて、穏やかに指摘してみましょう。
スタッフ側も、素直に受け入れる気持ちになれます。
お互いに気持ちよく働ける雰囲気を作ることで、離職防止につながりますよ。
医院全体の人間関係が良くない
院長がイライラしていると、院内全体の雰囲気もギスギスしはじめます。
歯科業界に限らず、「人間関係の悩み」は退職理由ランキングでも不動のNo.1。
でも逆に考えると、離職率を大きく引き下げられる可能性を秘めているんです。
どんな人でも、ギスギスした職場で働きたくはないですよね。
院長とスタッフ、ベテランと新人、折り合いが悪くても仲間として助け合えるようなクリニックに変えていきましょう!
もし、いますぐ変えたい!と思ったら、まずは院長の意識改善からはじめてみてください。
クリニックの雰囲気は、院長の行動・言動に大きく影響されるので、ボスである院長の心がけが何よりも重要ですよ。
スキルアップのための仕組みがない
「衛生士は医師の言うことにただ従っていればいい」
そう考えている院長は意外と多いんです。
では、当の衛生士はどのように感じているのでしょうか?
弊社がおこなっている衛生士への聞き取り調査では、キャリアアップを望んでいる衛生士は少なくないことがわかっています。
歯科衛生士という仕事に夢を抱いている新人DHや、経験を積んで理想の衛生士像が見えてきた中堅DHなど、価値観や立場によって自分なりのキャリアプランを持っている方が多くいます。
もっとスキルアップしてできることを増やしたい。
本当はこんな治療がしたい。
理想とのギャップを感じた衛生士は、逆に教育制度のしっかりした医院へ転職してしまうんです。
向上心の高い彼らのために、DH人生をサポートをできる仕組みをつくりましょう。
評価制度がない・頑張りを評価してもらえない
衛生士の努力を評価できるのは院長しかいません。
毎日忙しいと思いますが、ぜひスタッフの頑張りにも目を向けてください。
日々試行錯誤しながら頑張っていても、誰にも評価されなければモチベーションは一気に低下してしまいます。
仕事はできて当たり前。
誰かに認められるために頑張るんじゃない!
と思われるかもしれませんが、衛生士も院長もひとりの人間です。
モチベーション高く仕事に取り組めるような環境を作るだけで、改善の兆しが見えてきます!
やりがいを感じられない
日々の業務がルーティン化してしまうことで、やりがいを感じられなくなるパターンがあります。
スキルアップの話と共通しますが、慣れた仕事をこなすだけの日々は一見ラクに見えても、向上心の高いDHには「つまらない」と思われることも。
高いレベルの業務を少しずつ与えることで、上達の楽しさを感じることができます。
長時間勤務や仕事量の多さで体力の限界
年々クリニック同士の競争が激しくなり、最近では診療時間が長時間化していると言われています。
もともと人手不足でギリギリのシフトに長時間勤務が重なり、業務量も業務範囲も拡大する一方。
本来ならば衛生士がやらなくていい受付などの業務も対応しなければならない状況です。
週休1.5日で平日は夜遅くまで拘束される、そんな職場に耐えかねた末、他業種への転職を考える衛生士も多いのが現状です。
休日・福利厚生など、条件の良い他院が羨ましい…
そんな中にもいわゆる「ホワイト」と言われる医院も存在します。
衛生士学校時代の友達がホワイトな医院に勤めていてうらやましい。
あそこの医院は週休2日、夜も18時には帰れるらしい。
辞めていった先輩DHから条件のよい転職先で一緒にはたらかないか、と誘われている…。
先生がもし衛生士の立場だったら、どうしますか?
結婚・出産などで環境が変わる
歯科衛生士は女性が多い職種です。
出産前はたくさん働いて稼ぎたかったけれど、出産後は体力的に厳しいと考える方も多いようです。
他にも、いまは子どもを優先したい・仕事と子育ての両立が難しいなど、これまでの労働環境についていけずに退職を考えるケースが非常に多く、さらには子育て中のスタッフが多い医院へ転職をのぞむという話も聞きます。
資格職だからこそ、いつでも復帰できるという安心感があるのも大きなポイントです。
スタッフに長く働いてもらうための対策とは?
1on1など、不満を吸い上げるための仕組みを整備する
スタッフ同士のトラブル、医院への愚痴、気づいていながらスルーしてしまっていませんか?
一つ一つにきちんと向き合って解決方法を探ることで、離職率を一気に引き下げることも可能です。
定期的な面談などを通して、ぜひスタッフの皆様と向き合ってみてください。
人間関係などの問題はコミュニケーション不足が原因となっているパターンが多いと言われています。
ここで働き続けたい、とスタッフに思ってもらえるような医院づくりを心がけてみてくださいね。
コミュニケーションを日頃からとる
急に1on1の場を準備しても、上手くいかないことがあります。
原因は、毎日のコミュニケーション不足です。
院長に対する信頼が足りない場合は、面談の場をもうけてもスタッフに警戒されてしまい、当たり障りのないやり取りばかりで成果もなく終わってしまいます。
そんな時は、まず仕事中の声掛けから始めましょう。
スタッフを気遣うことはもちろん、業務のなかの小さな連絡ごとや挨拶からでも構いません。
小さなコミュニケーションを積み重ねることで、自分は院長に必要とされている・ここに居場所があるという意識が生まれます。
ポジティブな姿勢は周りのスタッフにも伝わり、いずれは院長への信頼となって戻ってきます。
その頃には1on1がうまくいくような関係性に自然と変わっていますよ。
チームワークが高まれば「所属」の意識も強くなり、辞めたいという思いも生まれづらくなります。
今までスタッフにそっけない態度をとっている方は、まず挨拶から意識してみましょう!
DHとのコミュニケーションがうまくいかない理由は?
「自分はスタッフとコミュニケーションを取っているのに、上手くいかない」こう考えている方も少なくないと思います。
そんな先生が陥っているのは、下記の3パターン。
①うまくいかない原因が院長側にあると思っていない
コミュニケーションが上手くいかないのは「スタッフのせい」だと思っていませんか?
これまでに多くの人材を退職で手放しているにも関わらず、「縁がなかった」「面接で良くない人材だと見極められなかった」など、スタッフ側の責任だと信じきっている院長は珍しくありません。
もちろん、スタッフ個人の問題である可能性もありますが、この「自分に意識が向いていない状態」はコミュニケーション不全に気づきづらく、問題の解決を遅らせてしまいます。
②組織として間違ったコミュニケーションをとっている
院長とスタッフのどちらかが、コミュニケーションの主導権を握りすぎているパターンも見られます。
例としては、スタッフの言うことを聞きすぎて組織としての方向性がぶれてしまっていたり、逆に院長がスタッフをコントロールしたいという意識があり、それがコミュニケーションの中に見え隠れしてしまっています。
③コミュニケーション下手でバグが起きている
他人とコミュニケーションを取ること自体が不得意な先生もいます。
このタイプの先生は、スタッフに対しても余計な一言やトンチンカンな声掛けをしてしまい、関係をより悪化させてしまうことがあります。
また多くの場合、院長とスタッフの間でコミュニケーションに対する大幅な意識の乖離が見られます。
解決するためには、院長とスタッフの認識を揃える必要がある
上記3つの理由は、考え方によっては「性格」とも言えるでしょう。
スタッフによっては何もしなくても上手くいったり、逆に努力したつもりでも改善しなかったり…そんなコミュニケーションの不具合を解決するためには、院長とスタッフの間で同じイメージを持つことが重要です。
同じイメージ、つまり医院のコンセプトがしっかりしていれば、人が集めやすく、辞めにくい組織が作りやすくなります。
医院のコンセプト=特化した治療だと考える先生方は多いですが、実はそうではありません。
衛生士が知りたいコンセプトとは、「院長が何を考えているか」がすべてなのです。
どんな治療・どんな機械・どんな専門性を持っているかではなく、何を考えて開業したのか、どんなことを思って日々の診療に臨んでいるのか、スタッフに対してどんな期待をしているのかなど、普段から思っていることを言語化してみると、自然とコンセプトの形が出来上がってきます。
もし現在、コンセプトにあたる考え方がクリニック内で共有されていない場合は、周知のための行動から始めてみても良いかもしれません。
待遇を改善する
スタッフに「辞めたい」と思われないためには、待遇の見直しが欠かせません。
ついつい、仕事はお金ではなくやりがい、などと考えてしまってはいませんか?
現実は生活のために働いている人がほとんど。「やりがい」というもう一段上のステップで意欲的に働くためには、生活が保障されているという最低限の安心が必要です。
近くのクリニックの給与を求人サイトで調べてみましょう!
地域の平均に届いていなければ、早めの改善がおすすめです。
ミスマッチな人材を採用しない
スタッフが辞めたくならない環境をつくることも大切ですが、そもそもクリニックに合わない人を入れない、という考え方も重要です。
どんな人なら馴染めるのか、それを判断するためには、まずあなたのクリニックにどんな特徴があるのかを考える必要があります。
ですが、それは簡単に判断できることではありません。
そこでまず取り組みたいのが、見学から面接までの間に応募者と密にコミュニケーションを取る方法です。
コミュニケーションといってもこちらが話をするのではありません。
応募者がどんな価値観・性格・スキルを持っているのか、様々な質問を投げかけながら確認してみましょう。
面接のような一問一答形式にせず、雑談として話してみると本音が見えてくるかもしれませんよ。
【実録インタビュー】「わたしが前の職場を辞めた理由」をご紹介します
これまで長々とお伝えしてきましたが、結局のところ、スタッフのリアルな声を聞きたくないですか?
そこで今回、実際にいくつかのクリニックへお邪魔して衛生士さんへの聞き取り調査を行いました。
何名ものインタビューのなかで、「前職を辞めた理由」として印象に残ったものをご紹介します。
(特定ができないよう、一部変更をおこなっています)
- 「スキルアップができる」と書いてあったから応募したのに、実際はルーティン作業しかさせてもらえなかった。
- 院長に対して意見を言うと、露骨に仲間はずれにされた
- 院長がいつもイライラしていて、患者の前でも小言を言う
- クリニックの増築によってスタッフが増えて派閥ができた。居づらくなった
- スタッフみんなで頑張って目標達成しても、評価もなく声すらかけてもらえない
- アシスタントしかさせてもらえず、衛生士としてのスキルがほぼ身に付かなかった
- 診療時間を過ぎても診療が終わらない。毎日帰宅が遅く、家事や子育てもあるので疲れた。
いかがでしょうか?
退職したいと思ったとき、院長に伝える理由は建前であることが多いものです。
本音は隠すのが普通なので、院長ご自身はなかなか気付けないかもしれません。
少しでも上記に当てはまりそうであれば、ぜひ明日から気を付けてみてくださいね。
ミスマッチのない採用活動をサポートします
「どうすれば自分の医院にあった歯科衛生士を採用できるのだろう…?」と悩んでいる院長もいらっしゃるのではないでしょうか。
なるほど!デンタル人事編集部では、衛生士採用にお悩みの先生方向けに「求人採用パーフェクトマニュアル」をご準備しております。約160ページにわたるワークシート形式のマニュアルで、求人の準備〜内定後の対応まで細かくフォローしながら衛生士求人を成功へ導きます!
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♦︎この記事の監修歯科衛生士
♢ 道坂まや (みちさか まや)
フリーランス歯科衛生士
アパレル会社、市役所勤務、ホテルラウンジと様々な業種での社会経験経て、マナー、メンタルヘルスを学ぶ。
シングルマザーで子育てをしながら、歯科助手として働いた事がきっかけで歯科衛生士を目指す。
2013年 | 歯科衛生士国家資格取得 |
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2013年〜 | チェアサイドでの臨床と訪問歯科に携わる。 経験が認められてからは社員30名のなかでチーフに任命され、 新卒歯科衛生士、実習生、歯科助手などを中心に技術、マナー、メンタルヘルス、訪問歯科では在宅、特別養護施設、有料介護施設あわせて100名以上を担当。 各施設で訪問歯科、口腔ケアについてセミナーを行い、介護スタッフへ口腔ケアの指導も行う。 チェアサイドでは自費のPMTCを導入。顧客は約120名獲得。 |
2021年〜 | マイクロスコープを使用したメインテナンスを開始。日本顕微鏡歯科学会に所属。 |
2022年〜 | MRC、MFT開始。舌癒着症学会認定資格取得。訪問歯科、高齢者歯科、MFTのセミナーを行う。 |
♦︎過去に実施した研修内容
- ・医療人としてのマナー講座
- ・メンタルヘルス(組織で働くという事)
- ・DH技術系(SC、SRP、アシスタントワーク)
- ・在宅と施設の口腔ケア
- ・口腔ケアの必要性
- ・高齢者歯科(チェアサイド、訪問歯科)
- ・MFTについて