
「オワハラ」と呼ばれる学生ハラスメントが話題になりはじめて大分経ちますね。
オワハラとは「就活終われハラスメント」を略した言葉です。
つい、自覚がないままオワハラをはたらいてしまうパターンも多いので、
採用担当者はきちんと学び、防止策をしっかり心に留めておく必要があります。
本記事で詳しく解説しますので、皆さまのご参考になれば幸いです。
オワハラとは?
「オワハラ」という言葉を知っていますか?
数年前から就活生の間で話題となり、今では就活用語のひとつとして使われています。
オワハラとは「就活終われハラスメント」のこと。
一度内定を出した学生に辞退されてしまわないように、企業側が「就職活動を終われ」と圧力をかける行為を指します。
大学生の就職活動のやり方は、複数の企業から内定をもらう形が一般的です。
でも企業側としては、せっかくゲットした学生を他の企業に取られたくはありませんよね。
その想いが強すぎるあまり、学生に対して強い言葉で迫ったり、毎日のように来社させることで物理的に時間を拘束したり、辞退しづらい状況に追い込んだりなど…他社の選考に参加させないよう、いろんな形で学生を妨害してしまうんです。
「嫌なら、従わなければいいだけでは?」
そう感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、経験の少ない学生は当然ながら弱い立場に置かれてしまいがちです。
「雇ってあげている」「雇ってもらっている」という空気も依然として存在しています。
採用担当者は学生から見て年長者なので、上司になるかもしれない相手と真っ向から戦うのは精神的にも難しいですよね。
これをお読みの採用担当者は自身の行動を振り返ってみて、過去の行いがハラスメントに該当していないかを確認してみましょう!
就活生の約1割がオワハラを受けた経験あり
内閣府が行った「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」では、就活生の約1割がオワハラを受けた経験がある、と回答しています。
オワハラという言葉が聞かれ出したのは2015年ごろから。
7年ほど経ってもなくならない現実が見えてきます。
就活生の就活・採用活動開始時期等に関する調査|内閣府

オワハラが生まれた背景
オワハラが問題視されはじめたのは2015年からと言われていますが、それには理由があります。
大きな原因としては、就活開始時期の後ろ倒しです。
経団連に加盟している大手企業を対象として、就活開始時期を従来の6月から8月へ遅らせるよう政府からの要請がありました。
一方で、経団連に加盟していない中小企業・ベンチャー企業は対象ではないため、春ごろには学生へ内定を出し終えている企業が多くありました。
一度内定を出した学生が大企業に取られてしまったら、8月以降に採用活動をゼロからスタートし直す羽目になってしまいます。
その頃にはいい人材は他社に流れ、採用費だけがかさんでいく…そのような苦しい状況を避けるためにオワハラが生まれたと考えられています。
2023年4月10日 政府から公式に言及される
オワハラが加速するなか、2023年4月10日に政府より新たな要請が行われました。
2024年度卒業予定者の就職活動において、企業によるさまざまなハラスメントや学業への専念を妨げるような採用活動を改めさせる内容となっています。
正式な内定前に他社への就職活動の終了を迫ったり、誓約書等を要求したりすることや、内(々)定期間中に行われた業務性が強い研修について、内(々)定辞退後に研修費用の返還を求めたり、事前にその誓約書を要求したりすることなど、採用選考における学生の職業選択の自由を妨げる行為を行わないよう徹底すること。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou_yousei/2024nendosotu/index.html
就職・採用活動に関する要請|内閣官房ホームページ
少子高齢化も相まって採用活動が過熱していることや、それに伴ってオワハラ問題が拡大していることがわかります。
こんな行為はオワハラに該当する!代表的なパターン5選
- 就活をやめるならここで内定を出す、と面接で脅す
- 内定後すぐに長期間の研修を行い、他社の選考を受けられないようにする
- 頻繁に懇親会を開き、欠席を認めない
- 大学の推薦状を突然要求する
- すぐに内定承諾書を提出しないと内定を取り消す、と脅す
このような行動を無意識にとってしまっていませんか?
注意すべきポイントは学生の意思が尊重されていない点です。
この会社に入社せざるを得なかった、ではなく、この会社に入社したかった!と言われる企業を目指しましょう。
オワハラが起こる原因
原因1:採用担当者が内定確保に焦っている
オワハラは、採用数をどうにかして確保したい採用担当者が陥りやすいNG行動です。
皆さんがご存知の通り、働き手は年々減少している状況に反比例して、ひとりの学生を確保するためにたくさんの労力とコストがかかっています。
苦労の末やっと採用できた学生を他社に取られたくないという気持ちは、どの企業も同じだと考えられます。
また、担当者に課せられたノルマや上司からの圧力が引き金となっているケースもあります。
必死になるあまり、ついつい学生が逃げられないようなやり方を選んでしまっているのかもしれませんね。
原因2:モラルに欠ける学生側の行動も
一方で、たくさんの内定を保持する学生側の行動も原因の一つと言われています。
何らかのルールに違反しているわけではもちろんありませんが、いくつかの内定を保留した状態でギリギリまで承諾をひっぱり、就活期間の終わり際に内定辞退を申し入れる学生も見受けられます。
体力のある企業はそれを見越して複数人に内定を出すなどの対策をとっている場合が多いのですが、コスト面で余裕のない中小企業にとっては大ダメージです。
残り期間が短いため採用再開することもできず、採用数ゼロで終了…悔しい結果となってしまう企業もあるようです。
オワハラを行った場合のリスク
リスク1:罪に問われる・損害賠償を請求される可能性
実は、オワハラは学生から訴えられるリスクがあります。
学生をはじめ、日本国民には職業選択の自由が認められており、企業がそれを侵害する権利はありません。
それだけではなく、やり方によっては脅迫罪・強要罪に該当する場合もあります。
犯罪を犯すつもりでオワハラを行うケースは少ないと思いますが、日頃から自身の行動に対して「これはハラスメントに該当しないか?」と警戒心を持っておくことが大切です。

リスク2:企業のイメージダウンにも繋がる
犯罪に問われなかったとしても、自分の首を絞めてしまうことがあります。
それは企業のイメージダウンです。
就活生は友達・後輩・大学・SNSなど縦横のつながりを幅広く持っています。
「この企業、オワハラしてくるよ」
「体質に問題あるから、応募しない方がいいよ」
このような悪評が広まってしまうと、次年度どころか今年度の応募者も減ってしまう可能性があります。
企業は学生を選ぶと同時に、学生からも選ばれています。
どの方面から見られても恥ずかしくないよう、クリーンな採用活動を目指しましょう!
まとめ
いかがでしたか?
採用担当者の知識不足やハラスメント意識の低さがオワハラを引き起こしていると言えます。
とはいえ、学生の目線になってみると、その問題性は容易に想像できるのではないでしょうか。
就活ハラスメントについて学ぶことで、入社前から学生に愛される企業づくりを意識しましょう!
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