
新しく人を採用したいな〜、と思った時に気になる有効求人倍率。
皆さまはチェックされていますか?
弊社は熊本県にある会社ですが、 昨年末より県内の有効求人倍率がじわじわと上がってきているんです。
その原因のひとつは、半導体受託生産最大手「TSMC」の熊本進出だと言われています。
「でも、影響があるのは製造業だけでしょ?」
自社は関係ないとスルーするのは、ちょっとだけ危険かもしれませんよ。
外資系企業の参入による経済変化が熊本県の採用に与える影響を見ていきましょう!
(追記あり)TSMCは2022年2月より1400名のうち700名の中途・新卒採用を開始
半導体受託生産最大手「TSMC」はソニーセミコンダクタソリューションズと協力し、熊本県菊陽町の第2原水工業団地に新工場を建設することを発表しています。
2022年4月より着工、2024年末までの生産開始を目処に計画が進んでいます。
それに伴い、2022年2月からエンジニアをはじめとする人材募集が開始されました。
その数なんと1700名!(当初の1500名から200名増員)
うち300名は台湾TSMCとソニーからの出向、残りは新卒・中途採用で人材補充を行うとのことです。
(2023年1月追記)TSMC熊本工場を運営するJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)は、新卒・中途採用で確保するのは約700人、残りの700名は台湾TSMCとソニーからの出向、外部委託等で賄うことを想定しています。
人材確保の厳しさを見越して、早めに募集が開始されたんだとか。

半導体エンジニアの平均給与を大きく上回る高待遇
2023年1月現在、TSMCのWebサイトをはじめとする複数の媒体で求人募集が行われています。
半導体エンジニアから事務・管理業務まで様々な業種の採用をおこなっています。
そんな中、気になるのが待遇ですよね。
全国の半導体エンジニアの平均給与は約500万円と言われている中、TSMCのエンジニアの給与は最低600万円。
熊本県内だけでなく全国的に見てもトップクラスの水準です。
また、報酬以外にも休暇・スキルアップ・その他福利厚生などの手厚い従業員支援も期待できます。
熊本県内に加えて九州の各県から人材が続々と集まってくることが予想されます。
TSMC進出が熊本県内の採用活動に与える影響
ここからは熊本県の採用にどんな影響があるのか、考えていきましょう。
影響①:製造業・メーカー企業の人材確保が難しくなる
まずは、熊本をはじめとする周辺都道府県の製造業は採用に苦戦するかもしれません。
県内のみならず、日本国内外で注目されているTSMCの熊本進出。
世界的企業に就職するまたとないチャンスです。
ネームバリューを重視し、キャリアアップしながらガンガン活躍していきたい!そんなタイプの人材なら、積極的に挑戦したいところですよね。
加えて、周辺ではまず出会えない高待遇の求人はとても魅力的です。
昨年までは国内の製造業に就職していた九州の新卒学生たちが、すでにTSMCヘ流れ始めているという噂もあります。
さらに、今回は1000名を超える大規模な採用になるため、 同業種の中途採用にも大きな影響を与えることが予想されます。
特に2022年〜24年に新卒採用を検討中の企業は、入念な準備と対策が必要です。
影響②:周辺地域の活性化→他業種でも働き手不足へ
工場が動き始めると、少なくとも雇用されている1700名以上の人流が生まれます。
建設予定地である菊陽町原水周辺では、早くも新駅の設置や鉄道ルートの増線が検討され、人口増に伴う活性化が予想されます。
交通の利便性が高まることで、他の企業が集まったり新しい商業施設が生まれたりなど働き手の需要が高まることが考えられます。
そのため、今まで問題なく人手を確保できていた業種でも、競合が現れることで急に人手不足に陥る可能性も。
「新規オープンのお店や綺麗な社屋で働きたい!」と考える求職者が実は多いんです。
新しい、という特徴はかなり手強いポイントになります。
ただ、人口も合わせて増えていくと考えられるので、一概にデメリットとも言えません。
競合を意識し、比較で負けてしまわないような独自の強みを探っていきましょう!

影響③:TSMCに引っ張られて周辺競合他社の待遇が変わる
待遇の良い求人に影響を受け、競合の求人の待遇もアップする例があります。
例えば、外資系ショッピングセンターのコストコは出店地域の最低賃金を考慮せず、一律で1,500円〜と設定されています。
(2022年4月・公式サイトより)
それに比べて、熊本県の最低賃金は「853円」(2022年10月1日より)。
倍近い差があるんです。
それによって、過去にコストコが出店した地域では、打撃を受けた競合企業が軒並み時給をアップするという現象が起きました。
経営者は人件費増によって困ってしまいますが、求職者にとっては嬉しい変化ですよね。
求人を探す上で「給与」は譲れない部分です。
また、応募先を決めるときには必ず競合他社と比較し、自分にとってどちらが良い就職先かを検討するのが一般的です。
今回のTSMC進出でも同じ現象が起きると考えられます。
さらに、今回の募集はエンジニアだけでなく事務系の職種も対象です。
製造業に限らず、様々な業種の待遇に変化が現れそうですね。
働き手が減り、影響力の大きい企業が進出する熊本では、TSMCと戦えるくらいの待遇を提示してあげられないとこれから先の採用活動は厳しくなると考えられます。
採用市場の動向をチェックすることが大切
経営者の方にとってはネガティブな情報をお伝えしてきましたが、
TSMCのような超・大企業に打ち勝つ必要はありません!
大切なのは、採用市場の流れを見て対応を変えること。
通常の募集で集まりそうになければ、スタッフの友人知人などのリファラル採用に切り替えたり、時期をずらしたり、配置換えを検討したり…
一般的な採用にこだわる必要はないんです。
人材不足を解決するために、色々な切り口から考えてみてくださいね。
弊社でも、採用という「入り口」の対策以外に
人事・労務など「出口を塞ぐ」お手伝いを行なっております。
ご相談はいつでも承りますので、お問い合わせフォームよりご連絡ください。