歯科衛生士の転職理由と医院でできる対策

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熊本の求人採用コンサルティング、株式会社ナインデザイン制作部の鎌田です。
歯科衛生士は人手不足のため就職先には困らないと言われている職種ですが、その一方で歯科医院から見ると離職率が高い職種でもあります。

今回は歯科衛生士の転職理由とその対策についてお話ししていきたいと思います。

歯科衛生士の離職率はどのくらい?

公益財団法人 日本歯科衛生士会が出している「歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年)」によると、常勤・非常勤を合わせた歯科衛生士の離職率は

「勤務先を変わったことがない」…22.2%
「1回ある」…21.4%
「2回ある」…17.8%
「3回ある」…17.6%
「4回以上ある」…19.6%

となっています。76.4%もの歯科衛生士が少なくとも1回は転職を経験していることになります。
さらに、「勤務先を変わったことがない」の数値は平成16年の調査(33.6%)から減少傾向にあるので、働き方の多様性の観点から転職を経験する歯科衛生士はこれからも増えていく可能性があります。

歯科衛生士の転職理由は?

歯科衛生士の転職理由はさまざまです。
その中でも代表的な転職理由を5つご紹介します。

職場の人間関係が悪い

歯科衛生士が転職する理由で一番多いと言われている職場の人間関係
特に小規模クリニックが多い歯科医院では医師とスタッフが少人数のため、相性が悪い人がいると居心地が非常に悪くなってしまいます。

歯科衛生士には女性が多いため、女性ならではの人間関係に悩んだ結果、疲れてしまうという人も少なくありません。

スタッフ間での悪口や陰口などがエスカレートし、いじめや嫌がらせに発展することがないよう気をつけることも大切です。

院長先生についていけない

院長先生が目指す治療の方向性と、自分のやりたいことがずれていると、すり合わせたり理解するのが大変になります。
意見を聞き入れてくれる風通しの良い職場であれば、話し合いなどで違和感を解消することができますが、そうでない場合は不満を溜め込むままになってしまいます。

また、開業して経営者となったことの責任感から、スタッフに厳しい方もいらっしゃるかもしれませんが、業務上のスキル不足やミスの指摘の範囲を超えた言動を行なってしまっていないか注意が必要です。

仕事内容と給与が見合っていない

実際に転職・退職した人だけではなく、離職を検討している・辞めるかどうか悩んでいる人の中でも多くの方が給与・待遇への不満を持っています。
仕事を頑張って新しいスキルを身につけても昇給につながらない場合も多く、多くの歯科衛生士が「ベースアップ」や「定期昇給」の制度を見直してほしいと答えています。

歯科衛生士の年収のボリュームゾーンは300万円以上400万円未満と言われています。
この金額は女性の平均年収を考えると決して低くはない数値ですが、現在の年収に満足していると答える歯科衛生士は約40%ほど。
国家資格職であることや仕事の専門性・大変さを考慮すると、給与が低いと感じているのかもしれません。

また、仕事内容に対する不満を持っている場合もあります。
歯科衛生士の主な仕事は「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」になりますが、実際にはそれ以外の業務に携わっているケースも多く見られます。
やりたい分野の施術を勉強できない、受付や事務業務などに追われて本来の仕事に集中できないといった問題や不安から、職場環境に悩んで転職・退職を考える人もいます。

歯科医師から咬合採得やレントゲン撮影など、歯科衛生士の業務範囲を逸脱した指示をされて不信感や不安を抱くこともあります。

スキルアップしたいと考えている

歯科衛生士さんの中には「もっと小児歯科の治療について学びたい」「認定歯科衛生士を目指したい」など、自身のスキルアップをしたいと考える方がいます。

しかし、もし今働いている場所が自分の目指しているキャリアアップができないと感じた場合、もっと教育制度が充実した医院で働きたいと思う歯科衛生士もいます。

出産や育児などの家庭の事情

歯科衛生士は99%が女性のため、どうしても結婚や出産といった家庭の事情でライフスタイルが変わる場合があります。
産休や育児休暇などの福利厚生が整っている歯科医院であればそのまま勤続することができますが、そうでない場合は転職・退職せざるを得ません。

歯科衛生士の離職を減らすには?

ここでは歯科衛生士の離職を減らすためにできる対策を5つご紹介します。

職場風土を改善する

歯科衛生士の人間関係の悩みを減らすことは、歯科衛生士の転職を抑えるために欠かせない課題です。院長自身がコミュニケーションの重要性を理解し、スタッフの意見や質問、悩みに対してしっかり傾聴していく必要があります。

定期的に面談の機会を設けることで、歯科衛生士さんをはじめスタッフさんの悩みや抱えている課題を聞くことができるので、職場環境を改善するきっかけを探ることができますよ。

人事評価制度の導入・見直しを行う

「給与が低い」と感じている方の中には、「頑張っているのに評価されない」「具体的に何ができるようになれば昇給できるのかわからない」と悩んでいる方もいらっしゃいます。

医院に貢献したいのに、どう頑張ったら良いのかわからない…
そんな意欲のある歯科衛生士さんが辞めてしまうのはとてももったいないですよね?

そのような場合は人事評価制度を導入することで解決することがあります。
人事評価制度を作成すると、医院が普段行っている業務が明確になるので、 スタッフさんごとに「何ができているか」「何ができていないか」を整理することができます。

さらにスタッフさんに合わせた課題と教育を行うことができるので、「スタッフのスキルアップ」「モチベーションアップ」「医院の売り上げ向上」を目指すことができるようになります。

家庭と両立しやすい環境を作る

歯科衛生士は女性が多いため、仕事と家庭の両立という課題を抱えている方が多いです。
産休・育児休暇を整えると同時に、休暇を取得したスタッフや一度離職をしたスタッフが安心して復職できるように研修制度を充実させる等、職場環境を改善しましょう。

採用を見直してスタッフの拡充をはかる

現在、歯科衛生士の求人倍率は約20倍と言われています。これは、歯科衛生士1人につき20件の歯科医院が取り合っている状況になります。院内の人間関係や職場環境を改善しただけでは、離職を減らすことはできますが人手不足のスタッフを採用するのは難しいことがわかります。
人手不足が続いたままだと、スタッフが辞める→残ったスタッフの仕事量が増える→残業や休みが取れなくなる→さらにスタッフが辞める…という悪循環に陥ってしまいます。

従来の採用では、他の歯科医院に埋もれアピールしたい歯科衛生士に届かない可能性があります。自院の魅力を明確にし、求職者に伝える工夫が必要です。

こちらの記事では「求職者がどんなことを知りたいと思っているのか」「医院の魅力の洗い出し方」などをご紹介しています。ぜひ、ご覧ください!

スキルアップできるセミナーや研修を導入する

「接遇研修」や「技術・スキルアップ研修」などを導入することで、スタッフ全体のスキルアップを行うことができ、仕事によりやりがいを感じることができます。

今いるスタッフの技術の底上げもできるので、より質の良い医療サービスを患者様に届けることができ、
その結果、医院の医業収入もUPするという好循環につながります。

スタッフが安心して勤務できる環境を整えよう

上記のように歯科衛生士が安心して勤務できる職場環境を整えていくことで、離職の原因になる課題も減り、早期の離職を減らすことができます。
もしライフスタイルの変化があった場合でも、産休・育休が終わった後も働き続けたいと考える方も多くなります。

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